年末調整の時期になってきましたね。
年末調整のことを知ってるようで実はよく分かってないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
年末調整とは
会社員の方は毎月受け取るお給料から税金があらかじめ引かれています。
これは会社が本人に代わって納税しているのです。
ただしその金額は概算なので、年末に計算し直して差額を調整するよ~
という作業のことを年末調整と言います。
※年収が2,000万円を超える場合には年末調整対象外で確定申告が必要です!
年末調整について知るには、まず所得控除について理解する必要があります。
所得控除とは
各自の個人的な事情を考慮して、所得金額から差し引くことができるさまざまな控除のことです。
「控除」というと難しく感じますが、ざっくり言うと税金の計算で有利だよ、ハンデをあげるよ、ということです。
個人的な事情とは、扶養している家族がいるとか、生命保険に加入しているとか、病気や災害で支出が多かった等ですね。
そもそも所得って?
所得とは、収入–経費のことです!
我々会社員の給与所得でいうと、
収入金額(年収)-給与所得控除
ですね。
給与所得控除とは会社員のみなし経費です。
会社員として働くにもスーツなど買わなければいけないものがいろいろあるので、一定額が経費として認められているのはご存じでしたか?
その経費の分は税金を安くしてもらえるているのです。
みなし経費の額は収入金額によって変わります。
表① | |
---|---|
給与の収入金額(A) | 給与所得控除額 |
162.5万円まで | 55万円 |
162.5万円超から180万円まで | (A)x40%-10万円 |
180万円超から360万円まで | (A)x30%+8万円 |
360万円超から660万円まで | (A)x20%+44万円 |
660万円超から850万円まで | (A)x10%+110万円 |
850万円超 | 195万円(上限) |
また、所得からさらに差し引くことができるさまざまな控除がありますが、今回は特に知っておいてほしい
控除をピックアップして説明します。
知っておいてほしい所得控除4選
■基礎控除
所得が2,500万円以下の納税者だったら無条件で適応される控除です!
基礎控除額は所得金額によって変わります。
表② | |
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納税者本人の合計所得金額 | 控除額 |
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
■配偶者控除
収入がないor少ない配偶者がいる場合、税負担を軽減するよという控除です。
最大で38万円控除してもらえます。
■社会保険料控除
毎月のお給料から年金保険料や健康保険料、雇用保険料が引かれていますよね?
それが社会保険料です。
そこで支払った社会保険料の全額が所得から控除されます。
■生命保険料控除
保険会社からこの時期にハガキが届くのはこれです。
万が一のために自費でも保険で備えていて偉いね!納税する金額はある程度減らしてあげるよ!
という控除になります。
控除の額は下記の表の通り。
※2012年12/31までに締結した保険は別計算
表③ | |
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年間の支払保険料等 | 控除額 |
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超40,000円以下 | 支払保険料等x1/2+10,000円 |
40,000円超80,000円以下 | 支払保険料等x1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律4万円 |
所得からこうしたハンデ(控除)を全部差し引いた金額を課税所得金額といいます。
課税所得金額をもとに所得税は計算されます。
所得控除の流れをAさんの例で見ていきましょう。
![](https://manesho.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/man.png)
Aさん
会社員
給与収入:600万円
支払った社会保険料の金額:60万円
収入のない配偶者あり
生命保険の加入あり(5万円/年)
①まずは収入からサラリーマンのみなし経費(給与所得控除)を引きます
600万円-(600万円x20%+44万円)=436万円
※表①参照
②次に所得が2,500万円以下の納税者だったら無条件で適応される基礎控除分を引きます
436万円-48万円=388万円
※表②参照
③次に毎月支払っていた年金保険料等の社会保険料も全額控除します
388万円-60万円=328万円
④さらにAさんには収入のない配偶者がいるので、配偶者控除分を引きましょう
328万円-38万円=290万円
⑤最後に生命保険にも加入しているので、生命保険料控除分も引きます
290万円-(5万x1/4+2万円)=286.75万円
※表③参照
286.75万円がAさんの課税総所得金額になります。
仮に所得税率が10%だとしたら、Aさんが払う所得税は約28.6万円/年になります。
もし④⑤がなければ、所得税は32.8万円になるので、控除は多ければ多いほどいいことが分かりますね!
還付金の受け取り時期
支払うべき正しい税額が分かったら、すでに支払っている税金との差額が還付されます。
受け取れる時期は企業によって異なりますが、12月の給与または1月の給与と同時に還付になることが多いです。
ただし年度の途中で扶養親族の人数が減るなどした場合、還付ではなく追加徴収されることもあるのでご注意を。
まとめ
少しでも払う税金を減らして自分のお金を守れるように、年末調整は漏れなく対応しましょう!
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